日本でもシュトゥルムが飲める!山梨のワイナリーへ行ってきた

前の記事「オーストリア秋の味覚!発酵中のワイン、シュトゥルムがおいしすぎる」で、この時期しか飲めない発酵中のワイン、シュトゥルム(フェーダーヴァイサー)についてご紹介しました。
シュトゥルム

甘酸っぱく口当たりのいいシュトゥルムは、オーストリアやドイツなどのワイン産地では秋に欠かせないメジャーな飲み物。
現地で飲み、ファンになった方も多いことでしょう。
この季節になると恋しくなるものの、持ち帰ることもできず輸入も不可能なシュトゥルム。日本でも飲むことはできるのだろうか…と気になりますよね。
残念ながら、瓶での販売はもちろん、お店などで提供しているところもありません。

唯一飲めるのが、ワイナリーの中。
それなら行くしかあるまい!と山梨まで乗り込みました。
今回はそのレポートを中心にまとめています!

目次
◆シュトゥルムが飲めるワイナリーを発見
◆山梨へのアクセス方法
◆ロリアンワイン祭り
◆ルミエールワイナリー
◆日本全国のワイナリー

◆シュトゥルムが飲めるワイナリーを発見

ワイナリー
シュトゥルムは、日本で流通することはありません。
酒税法の関係で、ワイナリーの外へ持ち出すことができないそうです。
そのため、飲めるのはワイナリーの中で行われるイベントや試飲のみ。持ち帰りも不可です。

ですが、見つけました!
関東からアクセスしやすい、山梨のロリアンワイン祭り(白百合醸造)と、ルミエールワイナリー。
国産ワイン発祥の地、甲府盆地にあり、互いの距離も比較的近いためはしごもしやすいです。
シュトゥルム
ルミエールワイナリーのシュトゥルム。

・ロリアンワイン祭り

毎年9月開催で、2018年は8~9日に行われました。
参加には事前予約が必要。参加費が3000円(試飲チケット5枚+お土産のハーフボトル付き)です。
運転手や未成年者向けにノンアルコールチケット(1500円)も用意されています。

住所 山梨県甲州市勝沼町等々力878−2
電話番号 0553-44-3131
開催時間 10:00~16:00(最終受付15:00)※2018年の場合
公式サイト http://www.shirayuriwine.com/home

・ルミエールワイナリー

明治34年(1901年)に造られた日本初のヨーロッパ型横蔵式半地下貯蔵庫を有するワイナリー。
ワインショップでは無料・有料の試飲ができ、シュトゥルムも100円で飲むことができます。
飲める品種は時期により変わります。

住所 山梨県笛吹市一宮町南野呂624
電話番号 0553-37-0207
ショップ営業時間 9:30~17:30
公式サイト http://www.lumiere.jp/


◆山梨へのアクセス方法

ホリデー快速ビューやまなし号
新宿駅で発車を待つ、ホリデー快速ビューやまなし号。2階席の人気が高いです。
東京から山梨へ行くには、特急「あずさ」「かいじ」や高速バスなど複数の手段がありますが、この日利用したのは、ホリデー快速ビューやまなし号。
新宿から小渕沢まで、春~秋の土・日・祝日を中心に1日1往復する臨時快速列車です。
なんと言っても普通運賃で移動できるところが魅力。
それ以外の普通列車でも行けますが、途中で乗り換えが必要です。

ホリデー快速は青春18きっぷでも乗車でき、人気なので自由席なら早めに並ぶことをおすすめします。
確実に座りたいなら指定席、グリーン車(18きっぷ不可)もあります。
ただし、夏季の18きっぷは例年9月上旬までの期間限定のため、有効期間にご注意ください。

新宿を9:02に発ち、塩山(えんざん)駅には10:52着(2018年のダイヤ)。
ロリアンワイン祭りの日は塩山駅南口からシャトルバスが往復しています。
観光バスなので立っての乗車はできません。乗りきれなければ1本見送って待つことになります。
ロリアンワイン祭り
塩山駅にて、ワイン祭りのシャトルバス。
ルミエールワイナリーへは、ロリアンワイナリーからはタクシーで。料金は1000円ほどです。
駅から直接行く場合は、勝沼ぶどう郷駅が最寄り。タクシー料金は、私が利用したときは1600円強でした。
この日はワイン祭りのためか、配車に時間がかかっていました。列車の本数も少ないので、移動には余裕が必要です。
勝沼ぶどう郷駅
勝沼ぶどう郷駅。 

◆ロリアンワイン祭り

ロリアンワイン祭り
いよいよワイン祭りです!

まずは受付でワインのリストとチケット、参加者証(お土産引換券兼用)、グラスを受け取ります。
ワインは建物の中で提供。外に並ぶフードブースの横にもありますが、シュトゥルムは屋内のみでした。
チケットで飲めるワインのほか、別料金の試飲も用意されています。

別料金の試飲が行われるのは「130年前のハプスブルク家のレンガを使用したワインセラー」だそうです。
ロリアンワイン祭り

「セラー」と言うものの地下ではありません。チケット制の試飲コーナーの奥にさりげなくありました。
オープンスペースなのでそこで貯蔵しているわけではないのでしょう。
しかしそこには堂々たる双頭の鷲が…!ポップに隠されてました!!(爆)
ロリアンワイン祭り
いや、あの、もう少し大切にしてくれませんか~~そんなただの什器みたいに(;・∀・)
危うく見過ごすところでしたよ…そこ売りにすれば食いつく人もいっぱいいると思うんですけどね???(ほらここに!)
ゆっくりお話は聞けなかったのですが、係のお兄さんにお願いし、撮影だけはさせてもらいました(笑)
ロリアンワイン祭り
ハプスブルク=ロートリンゲン家…ですかね? 詳しい人ツッコミをお願いします(笑)
 …気を取り直して、お目当てのシュトゥルムです!
ここでは「もろみワイン」と呼ばれています。
ロリアンワイン祭り

樽からそそぐスタイルで、テンションも上がります。
品種はシャルドネだそう。

ぶどうの甘み、軽くはじける舌触り、爽やかな酸味…まごうことなきシュトゥルムです!
品種による味の違いこそありますが、懐かしい風味に嬉しくなります。

ロリアンワイン祭り
外にも同じレンガを発見。ここにも双頭の鷲。

 ワイン祭りではフード類も販売され、持ち込みは禁止。
チーズ、ソーセージ、窯で焼くピザ、軽めの前菜類などが並びます。
ロリアンワイン祭り
収穫コンテナを机と椅子代わりにし、たわわに実ったぶどう棚の下でいただくなかなかのシチュエーション。
ロリアンワイン祭り
目線の高さに実るぶどう。
ただこの日、到着した頃にパラパラと雨が降り、その後晴れてきたのでとても蒸し暑かった…!
ぶどう棚は背が低く、人も多いので風も通らず…
汗だくでワインを飲むのは脱水が心配なので、お水必須です!
敷地内の自販機は午後にはお水が売り切れていました。
(試飲コーナーには水も一応あるのですが、用意されているコップは一口サイズです^^;)

ちなみに、トイレの数は多くはないですが、簡易トイレも設置されています。
そこそこ混みあいますが、恐ろしく並ぶほどではありません。
私が行った日の情報ではありますが、ご参考まで。

せっかくだからほかのワインも飲もうか…と思いつつ、それは普通に買えるものだし、やっぱりここはシュトゥルム。
結局チケット5枚すべてをシュトゥルムにつぎ込みました(笑)
ロリアンワイン祭り
お土産にもらったのもシャルドネのワインです。
飲んだシュトゥルムがどんなワインになったのか、比べてみるのも楽しいですね。

◆ルミエールワイナリー

ルミエールワイナリー

お次は近くのルミエールワイナリーへ移動します!
歩いても行けなくはないかな…と思ったものの、晴れて暑くなってきたのでタクシーに。建物は和洋折衷のおしゃれな雰囲気です。

ルミエールワイナリー

シュトゥルムはショップの片隅に、こんなピカピカのタンクで用意されています。
ルミエールワイナリー

これなら劣化せずに置いておけるからいいですね!家に欲しい!(笑)
8月末頃から2か月間、その時期に仕込んでいる品種のシュトゥルムが順に提供されます。
この日はデラウェア!
ルミエールワイナリー
色がほんのりピンクでかわいいです。
デラウェアはもう時期が終わりとのことで、そのせいか発酵はだいぶ進んでいます。
先ほどのシャルドネよりお酒っぽさが強い。
でも口当たりはちゃんとシュトゥルムです。
これはこれでおいしい~

デラウェアが終わった後は、甲州種になるそうです。それも飲みたい…。
ルミエールワイナリー
1杯100円なのでぐびぐび飲みたいところですが…前の記事にも書いたように、シュトゥルムの飲みすぎは危険です!

アルコール度数としてはそれほどではないものの、先ほどのワイン祭りで5杯、ここで2杯飲んでお腹が限界に~(^▽^;)
さらなるおかわりは泣く泣く断念。

でもクーラーが効いた室内の窓際で、ゆっくり飲めるのはポイント高いです。
ワイン祭りで暑い思いをしていたから、よけいに(笑)
最初に訪れた時間は空いていたのですが、その後人が増え、席もいっぱいになりました。
近いので、ワイン祭りからはしごした人も多かったのかもしれません。

国内のシュトゥルムはどんな感じだろうと思っていましたが、おいしくたっぷりいただけて、満足です。
ルミエールワイナリー
ルミエールワイナリーの前はワイン畑。駐車場にあった喫煙所のロケーションが最高すぎる…。

◆日本全国のワイナリー

今回は山梨の2軒を巡りましたが、ほかの地域・ワイナリーでも提供している場所はあります。
施設見学をすれば飲めるところも少なくないと思いますが、ここでまとめたのは、気軽に行きやすい、敷地内のショップやワイン祭りで飲める場所です。

新しい情報が入れば順次追加していこうと思います。
ワイナリー

・サドヤレストラン レアル・ドール(山梨県)

甲府駅から徒歩圏にあるワイナリー内のレストランです。
シュトゥルム(ここでは「もろみワイン」)は、レストランのみでの提供とのこと。
公式Instagramにて、もろみワイン開始のお知らせがありました。
問い合わせたところ、9月上旬~10月上旬頃に提供する予定で時期は前後することもあるそうです。
また、9月15日現在はマスカットベリーAとのことですが、品種も時期により変わる可能性があります。

公式サイト http://realdor.sadoya.jp/

・おたるワインギャラリー(北海道)

施設見学で、発酵途中のワイン「ベビーワイン」が飲めるそうです。
9月に行われる「北の収穫祭 ワインカーニバル in おたる」は残念ながら、2018年は地震の影響で中止に。来年以降に期待です。
緯度がワイン産地の北限に近く、白ワインの品種が多いようですね。
シュトゥルムの品種は不明。
公式サイト http://www.hokkaidowine.com/contents/gallery/index.html

・神戸ワイナリー(兵庫県)

ここではなぜかシュトゥルムのことを「ホイリゲ」と呼んでいます。
ホイリゲは、オーストリアドイツ語で「新酒」や「自家製ワインを提供する居酒屋」を指すのですが。
公式サイトによると「発酵を途中で止めたワイン」とあります。そのためでしょうか?
だとすると、提供されるものは時期に限らず同じ程度の発酵具合なのかもしれません。 どの程度なのか気になるところ。

敷地内のワインショップで1杯200円での提供だそう。
例年9月1日から11月下旬を予定し、売り切れ次第終了です。
公式サイト https://kobewinery.or.jp/


・やまふじぶどう園(富山県)

毎年恒例のワイン祭りで、発酵途中の「パラディワイン」(フランス語でシュトゥルムのことのよう)が飲めます。
品種はリースリングらしいです。
併設のレストランでは収穫の時期にしぼりたてのぶどうジュースがメニューに並ぶそうですが、シュトゥルムの情報はありません。
公式サイト http://www.winery.co.jp/


・天橋立ワイナリー(京都府)

「ベビーワイン」と謳った赤の「フェーダーローター」を1杯200円で飲むことができます。
ここでも、発酵させはじめて2~3日で止めたもの、とあります。
アルコール度数は1、2パーセントとのことなので、甘さはかなり残った状態だと思われます。
品種は交配品種のセイベルを主に使用しているそうです。
公式サイト http://www.amanohashidate.org/wein/


・巨峰ワイナリー(福岡県)

公式サイトのブログに、併設のカフェレストラン(その名も「ホイリゲ」!)と9月のワイン祭りで「発酵途中の生ワイン」を提供との情報があります。
名前のとおり、巨峰葡萄100%にこだわっているそう。
巨峰は日本原産のぶどうなので、日本ならではのシュトゥルムですね。
森に囲まれたロケーションも魅力なので、いつか訪れてみたいものです。
なお、こちらでは「ワインの赤ちゃん」という商品名で、シュトゥルムに近い状態のものが通販で購入できます。
公式サイト http://www.kyoho-winery.com/

・月山トラヤワイナリー

ここのワイナリーでも「月山山麓ほいりげ」という商品名で、シュトゥルムに似たものを販売しています。
イベントや試飲の情報は見当たりませんでした。
公式サイトによると、発酵直後に冷却を行うことで完全無添加にてボトリング、とありますが、いくつか見かける記事では日本のフェーダーヴァイサーとして紹介されています。

実際に飲んでみましたが、シュトゥルムというより、その次の段階のStaubiger(シュタウビガー)と言ったほうが近いのかもしれません。
シュタウビガーは、ほぼ発酵が終了した状態(発酵は止まってはいないが栓ができる程度)で濁りは残り、甘味は少ないものです。
品種はセーベルとシャルドネのものがあり、11月頃にネットでも少し購入できるようですが、あっという間に完売します。
公式サイト http://wine.chiyokotobuki.com/business_b.html

****

日本ではまだまだ知名度が低いと思っていましたが、ザッと調べただけでも予想以上に見つかりました。
きっと飲める場所はたくさんあるのだと思います。
ただ、ワイナリーの外で飲めないこと、名称がバラバラなため認知されにくいことで「知る人ぞ知る」という状態になっているのだと思います。
もっと知られるようになれば、飲めるところも増えるかもしれません。
ここでも飲めるよ!というワイナリーをご存知でしたら、ぜひ教えてくださいね!


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